2007年3月アーカイブ
こんにちは、akahigeです。
("やんばる"とは、ここでは沖縄本島北部亜熱帯照葉樹林の意味。)
母なるイタジイの大樹が茂る深い森へ訪れました。目をとじて耳をすませば、森のオーケストラが奏でる自然の旋律がきこえてきました。鳥のさえずり、沢のせせらぎ、風音、風に舞う落葉の葉音・・・そして、春の花のかほり。深山にも春の表情がいっぱいです。
ここでは、名前に"深山(みやま)"のつく植物に出逢いました。
↑リュウキュウミヤマシキミの爽やかな雄花(3月) _______________________________________________ ■ 和 名:リュウキュウミヤマシキミ(琉球深山樒) 
(学名:Skimmia japonica Thunb. var. lutchuensis (Nakai) Hatusima ex Yamazaki)
■ 科 名:ミカン科(沖縄自生の同じ科にサルカケミカン、テリバザンショウ、アワダンなど)
■ 分 布:奄美大島、徳之島、沖縄島、石垣島(琉球列島の固有種)
■ 生育環境:山地林内の半日陰
■ 特 徴:雌雄異株(♂と♀で個体が異なる)の常緑低木。円錐花序で白色の径10mm程の花を咲かせる。開花時期は2〜4月頃。
■ トピック:
・ シキミという名前がついているが、シキミ科ではなくミカン科の植物。
・ 学名については、属名はSkimmia(日本名シキミ、シキミ似の)、種小名はjaponica(日本産の)の意味。var.(変種)のあとに書かれているlutchuensisは"琉球の"の意味。
・ 本州の関東以西の山地に分布するミヤマシキミ(Skimmia japonica Thunb.)より、奄美大島以南に分布する本種は全体的に大型である。
・ 和名の由来は、リュウキュウ(琉球列島に産し)、ミヤマ(深山に自生し)、シキミ(枝葉の形がシキミに似る)より。
・ 葉に毒性がある。
・ ミヤマシキミの花言葉は「寛大」。
_______________________________________________

↑林内でちらほら白い花が咲く ↑鮮やかな赤色の実

↑深山で逢ったイタジイ(ブナ科)の大樹 幹径:約1.2m 樹高:約20m
〜 この神々しい樹はいったい何年生きているのだろう?
生命の尊さを考えさせられます 〜
こんにちは、akahigeです。
("やんばる"とは、ここでは沖縄本島北部亜熱帯照葉樹林の意味。)
植物といえば緑色なのに・・・初めてこの植物と出逢った時、地球外生物と錯覚するほど驚きました。しかも、花も花らしく見えない、だけど花の中には目を疑うくらい綺麗な唇弁(リップ)がついている、驚きの連続でした。実は、この植物は葉緑体を持たないため光合成をしない植物です。それでこのような風変わりな色をしています。ではどのように、栄養を得て生きているのでしょうか?詳しくは下の特徴で解説します。

↑ハルザキヤツシロランの開花の様子(3月上旬)
_______________________________________________
■ 和 名:ハルザキヤツシロラン(学名:Gastrodia nipponica (Honda) Tuyama)
■ 科 名:ラン科(同じ仲間にコンジキヤガラ、ナンゴクヤツシロランなど)
■ 分 布:和歌山、四国、九州、沖縄島、西表島、与那国島、インドネシア(ジャワ島)
■ 生育環境:山地の林内の落葉の積もった暗い場所
■ 特 徴:多年生の腐生ラン。腐生ランとは、腐生植物の仲間で「植物体に光合成で自活する能力がなく、生物の遺体やその分解物から、根に共生する菌類を通して栄養素を得る植物のこと」を言う。"つまり、生きるために菌類から養分をもらっている。最近は「腐生植物」のことを、植物の栄養摂取の方法を正確に示す「菌従属栄養植物」とか「菌寄生ラン」と呼ぶようになってきている。花の時期には落葉の上に高さ5cm内外の地上部が突き出て、花後の結実時期には20〜40cmなる。1〜3輪ほどの花を咲かせる。開花時期は3月頃。
■ トピック:
・ 和名に由来は、熊本県八代で発見されたヤツシロランの春咲種より。(春咲八代蘭)
・ 沖縄県では元々自生地と個体数が少ない。自然林の伐採やダム建設による水没により減少。
■ REDデータカテゴリー:絶滅危惧?類(沖縄版)、絶滅危惧?類(環境省版)
_______________________________________________

↑花アップ(もう少し開くかも)


左:花の後姿/右:筒状の花びら(花筒)が落ちて唇弁が露出。(3月中旬)
地味な色の花筒のなかに色鮮やかな唇弁がついているとは!

←結実状況(4月中旬)花のあとは茎が伸びます。
茎の上部にあるふくらんでいるのが果実です。
このような腐生植物は、日本には何種類か生育しています。
素朴で美しい山野草や樹木は勿論ですが、森で植物観察しながらこの幻想的な腐生植物に出逢えることを密かに楽しみにしています。
こんにちは、akahigeです。
("やんばる"とは、ここでは沖縄本島北部亜熱帯照葉樹林の意味。)
沖縄では12〜1月頃に、まるでタケノコのように忽然とムサシアブミの新芽が地上に現れます。そして、2〜3月には大きな葉を茂らせ、林床を艶のある緑色に変えます。さらに、その葉と葉の間に、奇妙な形の仏炎苞(ぶつえんほう:花を覆う変形した葉)がつきます。石灰岩の山ではこの時期に、山道でよく見られ登山者を喜ばせてくれます。
_______________________________________________ ■ 和 名:ムサシアブミ(学名:Arisaema ringens (Thunb.) Schott) 
■ 科 名:サトイモ科(同じ仲間にオキナワテンナンショウ、アマミテンナンショウなど)
■ 分 布:関東以南西、奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、沖縄島、渡名喜島、石垣島、西表島、与那国島
■ 生育環境:多くは石灰岩地帯のやや湿った森林樹下(林床)
■ 特 徴:高さ30〜60cmの多年生草本。花を覆う大型の特異な苞(ほう)があり、これを「仏炎苞(ぶつえんほう)」という。苞は葉が変形したもの。開花時期は12〜3月頃。
■ トピック:
・ 学名については、属名はラテン語のaris(サトイモの一種)+haima(血)、種小名はringens(口をひろく開けた)の意味。(サトイモの仲間で花の口がひろく開いている様子から?)
・ 和名の由来は、仏炎苞が昔武蔵国でつくった乗馬用の鐙(あぶみ)の形に似ていることにちなむ。
_______________________________________________
↑森のなか一面に群生するムサシアブミ 
↑仏炎苞(この中に花がある)の綺麗な模様
こんにちは、akahigeです。
("やんばる"とは、ここでは沖縄本島北部亜熱帯照葉樹林の意味。)
静かな渓流のほとりで、情熱的な真紅のツツジに出逢いました。この花はとても目立つので、咲いている時期と合えば、遠くからでも見つけることができます。
ツツジといえば、沖縄県北部の東村「つつじ園」では、約5万本のツツジを3月31日まで満喫できるそうですよ。沖縄では桜の花見はすでに終わっているので、一足早くツツジの花々を観賞してみてはいかがでしょうか。
■ 和 名:ケラマツツジ(学名:Rhododendron scabrum G.Don) ↑燃えるようなケラマツツジの花(径8〜9cm)
_______________________________________________
■ 科 名:ツツジ科(同じ仲間にシロバナケラマツツジ、サクラツツジ、セイシカなど)
■ 分 布:奄美大島、沖永良部島、加計呂麻島、沖縄島、渡嘉敷島、座間味島(琉球列島の固有種)
■ 生育環境:低地〜山地の林縁や渓谷
■ 特 徴:高さ1〜2mの常緑低木。赤朱色の大きな花を咲かせる。開花時期は3〜6月頃。
■ トピック:
・ 学名については、属名はラテン語のrhodo(バラ色の)+dendron(樹)、種小名はscabru(粗い、ざらざらした)の意味。(バラ色の花を咲かすザラザラした葉を付ける樹木の意味?)
・ 和名の由来は、自生地の慶良間(けらま)諸島にちなむ。
・ "ツツジ"という名前の由来は、次々に花が咲く「続き咲き」説や、花が筒のような形になっているので「筒咲き」などの説があるという。
・ 沖縄県那覇市の西方に位置する渡嘉敷島、他数島からなる渡嘉敷村の村花。
・ 園芸用の採集やダムの建設による水没等で個体数が減少している。
・ ツツジの花言葉は、「自制心」、「節制」、「恋の喜び」、「初恋」、「燃える思い」などあり、花の色によって異なる。
■ REDデータカテゴリー:絶滅危惧?B類(沖縄版)、絶滅危惧?類(環境省版)
_______________________________________________
↑岩壁に咲くケラマツツジの大株/望遠レンズで撮影
〜森のなかの紅一点〜
こんにちは、akahigeです。
("やんばる"とは、ここでは沖縄本島北部亜熱帯照葉樹林の意味。)
何度か森に足をはこんだ末、ようやく20輪もの花を咲かせ、樹上の高いところに着生していたので望遠レンズでの撮影となりました。太陽光がかすかに照らす花は、清楚な表情で趣深いものでした。
↑ヒサカキサザンカ(ツバキ科)の幹に着生するオキナワセッコク _______________________________________________ ■ 和 名:オキナワセッコク(学名:Dendrobium okinawense Hatusima & Ida) ↑芳香のあるオキナワセッコクの花(径5〜6cm) ↑今や幻の花になりつつある・・・ 
■ 科 名:ラン科(同じ仲間にキバナセッコクなど)
■ 分 布:沖縄島(固有種)
■ 生育環境:山地樹林の樹上
■ 特 徴:樹上に着生する常緑の多年生ラン。束状の茎が細長く垂れ下がる。開花時期は1〜4月頃。
■ トピック:
・ 属名の由来はラテン語のdendro(樹木)+bios(生命、生活)より、樹木に着生するため。
・ 和名の由来は、発見地の沖縄にちなむ。
・ 沖縄本島北部の山地だけに自生が知られている珍種。
・ 沖縄県北部に位置する国頭村の村花。
・ かつては多く見られたが、園芸用の採集や自然林の伐採等で個体数が減少している。
・ 環境省は、絶滅を防ぐため2002年に国内希少野生動植物種に指定し、法律でオキナワセッコクの流通を規制。許可なく採取、販売、譲渡、貸し借りができない。それらの行為については処罰の対象としている。
■ REDデータカテゴリー:絶滅危惧?A類(沖縄・環境省版)
_______________________________________________

こんにちは、akahigeです。
("やんばる"とは、ここでは沖縄本島北部亜熱帯照葉樹林の意味。)
春風に舞う野生のつつじに出逢いました。とても清楚な花で、咲き終えて森のなかに落ちても、桜が舞い散ったように彩りをあたえます。

____________________________________________
■ 和 名:サクラツツジ(学名:Rhododendron tashiroi Maxim.)
■ 科 名:ツツジ科(同じ仲間にセイシカ、ケラマツツジ、サキシマツツジなど)
■ 分 布:佐賀〜長崎、大隅半島、屋久島、種子島、奄美大島、徳之島、沖縄島、久米島、台湾(シロバナサクラツツジは奄美大島、沖縄島)
■ 生育環境:山地斜面の中〜上部/明るい場所
■ 特 徴:高さ2〜5mの小高木。花は小枝の先に2〜3個咲き、花の内側には赤紫色の班が入る。開花時期は2〜3月頃。
■ トピック:
・ 属名は、ラテン語のrhodo(バラ色の)+dendron(樹)より。
・ 名前の由来は、花が桜(バラ科)のように見えることにちなむ。
・ 観賞用として庭木、盆栽に用いられ、材は床柱に利用される。
・ 沖縄北部では"山桜(やまざくら)"とも称される。
・ 沖縄県北部に位置する国頭村の村花。
・ シロバナサクラツツジ(白花桜躑躅)は、サクラツツジの白花タイプ。
____________________________________________

↑シロバナサクラツツジの純白の花
(学名:Rhododendron tashiroi Maxim. f.leucanthum Masamune)
こんにちは、akahigeです。
"やんばる"とは、ここでは沖縄本島北部亜熱帯照葉樹林の意味。
今回は、何度か森に通ってようやく見事に開いた花と天候に恵まれ、撮ることの出来たヒメトケンランを紹介します。とても可愛らしい素朴な花です。風にそっと揺らされた花に木漏れ日が差し、きめ細やかにキラキラ輝く花びらはとても幻想的でした。


↑ヒメトケンランの花 ↑森のなかで静かに咲くヒメトケンラン
____________________________________________
■ 和 名:ヒメトケンラン(学名:Tainia laxiflora Makino)
■ 科 名:ラン科(トケンラン属:東アジア、熱帯アジアに15〜20種を産する)
■ 分 布:伊豆諸島、四国、九州、対馬、屋久島、トカラ列島、奄美大島、徳之島、沖縄島
■ 生育環境:山地/自然林や二次林の明るい湿った林床。
■ 特 徴:多年生の地生ラン。葉の上面にはモザイク状の白い斑点がある。高さ20〜30cmの花茎に黄〜褐色の小さな花を数個咲かせる。開花時期は2〜7月頃。
■ トピック:
・ 沖縄島は分布域の南限。
・ 名前の由来は、トケン(杜鵑)とは野鳥のホトトギスのことで、花についている斑点がこの鳥の胸の斑点に似ていることにちなむ。ヒメは"小さい"の意味。ユリ科の植物にも同じ由来でホトトギスというのがある。
・ 属名はギリシア語"リボン"の意味で、帯上の唇弁(リップ)から来ている。
・ 園芸用の採集や自然林の伐採個体が減少。
・ 台湾のルリダマアオイラン T.piyananensisを同種とする説がある。
■ REDデータブックカテゴリ:絶滅危惧?B類(沖縄版・環境省版)
____________________________________________

↑〜 渓流にて休憩 〜
"さらさら流れる小川、眩い新緑"いよいよ春の訪れです。
こんにちは、akahigeです。
"やんばる"とは、ここでは沖縄本島北部亜熱帯照葉樹林の意味。
今日は、前回皆さんに紹介したオキナワスズムシソウにとても近い仲間を紹介します。この前の清々しい渓流散策とはうって変わって、足場の不安定な琉球石灰岩のゴツゴツした険しい山で撮影してきました。オキナワ〜は小さく群生または単体で生育していますが、このセイタカ〜は大群落になります。
登山道で気軽に見ることができる山野草で、今なら森一面に咲き乱れる姿が見られるかもしれません。
でも決して、この大群落のなかに入らないように!
と、言いますのも以前akahigeはセイタカスズムシソウ林で迷って冷や汗かきました・・・

____________________________________________
■ 和 名:セイタカスズムシソウ(学名:Strobilanthes glandulifer Hatusima)
■ 科 名:キツネノマゴ科(同じ仲間に、キツネノマゴ、アリモリソウなど)
■ 分 布:沖縄島、石垣島、西表島(沖縄県の固有種)
■ 生育環境:山地、/半日陰〜日陰/やや湿地
■ 特 徴:亜低木状多年生草本。オキナワ〜とは異なり(前回のブログ参考)、茎は直立に伸長し高さ1mを超えるものもある。開花時期は12月〜3月。群生する。
セイタカ〜とオキナワ〜は花も葉も似ていますので、以下の2点でおおまかに見分けることが出来ます。
?オキナワ〜には葉の裏に毛があり、セイタカ〜には無い。
?オキナワ〜には倒れる茎があり、セイタカにはほとんど無い。
■ トピック:沖縄指定天然記念物"コノハチョウ(下の写真)"の幼虫の食草。
背が高く("セイタカ")、鈴虫の鳴く頃に咲くこと("スズムシソウ")が名前の由来。
同じ和名のラン科の植物があるのでご注意。
____________________________________________

↑群生している様子(もうすぐ花が一面に咲きほこるでしょう)
この蝶の幼虫がセイタカや、オキナワスズムシソウの葉を食べる。 左:コノハチョウの色鮮やかな羽(表)/右:木の葉そっくりの羽(裏)


