御嶽(うたき)は集落を守護(しゅご)する神聖(しんせい)な場所で、血のつながりのある祖先(そせん)の祖霊神(それいしん)や、ニライカナイの神などの外部の神、集落に貢献(こうけん)した人や高貴(こうき)な神女を由来(ゆらい)とするものなどがあります。村建てをした祖先(そせん)の墓所(ぼしょ)がのちに聖地(せいち)になったものもあり、元来(がんらい)集落も御嶽(うたき)の周辺に形成されていたと考えられています。そのような祖先(そせん)の祖霊神(それいしん)などを由来とする御嶽(うたき)は、集落の最も奥にある本家に接(せっ)してあることが多く、おきなわ郷土(きょうど)村(むら)の御嶽(うたき)もそのような配置となっています。
御嶽(うたき)は自然の石や石を積んだもの、祠(ほこら)などがあり、御嶽(うたき)の中でも、大きな岩や樹木(じゅもく)などに囲(かこ)まれた最も聖(せい)なる場所は【イビ】と呼(よ)ばれています。そこに入ることができるのはノロなどの神女のみとされており、【イビ】の手前には石の香炉(こうろ)や台石が置かれ、【イビ】やその周りはビロウやクロツグなど聖(せい)なる植物によって薄暗(うすぐら)くなっているものもあります。

テンチジアマチジ御嶽(うたき)（城内上(ぐすくないかみ)の御嶽(うたき)）
今帰仁(なきじん)城内(ぐすくない)にある御嶽(うたき)で、『おもろさうし』では「今帰仁城(なきじんぐすく)のカナヒヤブ」と謡(うた)われ、今帰仁(なきじん)グスクの中で最も神聖(しんせい)な拝所(はいしょ)です。
御内原【ウーチバラ】（女官部屋があったといわれている場所）の南東側にあり、１ｍぐらいの石垣(いしがき)に囲(かこ)まれています。城内の女官によって、子孫(しそん)繁栄(はんえい)、国家安泰(あんたい)、五穀(ごこく)豊穣(ほうじょう)を祈願(きがん)したと伝えられており、かつては男子禁制(きんせい)でした。