公園だより
2012.11.16
植物園の施設「みどりの相談所」では沖縄のちょっと珍しい山野草を展示しております。
アオヤギソウです。
黄色の小花が美しいこの植物は洪水時には水没するような渓流域に自生する植物です。本土の山野に生えるアキノキリンソウや、帰化植物のセイタカアワダチソウの仲間になります。もともと自生地の個体数が少ない上にダム建設による水域の環境変化により絶滅の危機に瀕しています。
サイヨウシャジンです。
青いベル型の花がかわいらしいですね。日当りの良い原野に生え、草刈など人の手が適度に入る里山の環境に多いようです。この仲間の花を見ると私は秋を感じます。
タイワンホトトギスです。
花びらの模様がホトトギス(鳥)の胸羽の模様に似ているため名付けられました。タイワンとありますが、少ないながら沖縄にも自生しております。ホトトギスは山野草愛好家を中心に普及し、一般の方にも比較的なじみのある花かと思います。多様な品種が出回っていますが、タイワンホトトギスは丈夫で青味を帯びた美しい花をつけ、茎頂に多数の花をつける点が優れており、ホトトギスと称して販売されている多くの園芸品種の親となりました。タイワンホトトギスがあったおかげで美しくて丈夫な園芸ホトトギスができた訳ですから、大切に守っていきたいですね。
イソマツ(ピンク色の花)とウコンイソマツ(黄色の花)です。
小さくてかわいらしい植物ですが、海岸の岩場という厳しい環境に自生しています。ゆっくりゆっくり成長し生き抜いている様は花からは想像できませんが、木質化した茎はそれを物語っているかのようです。園芸採集や薬用採集が続き、株の再生に時間がかかるため個体数が減少、今では絶滅危惧種に指定されています。価値ある植物を後世に受け継ぐ義務が現在を生きる私たちにあるかと思います。自然環境のためだけでなく、人間のためにも自生地で生きる植物たちを大切にしていきたいものです。
開花期間はそれほど長くないので、お早めのご来観をお待ちしております。
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