今年は台風がたくさん来ましたね。葉が飛ばされてほとんど無くなってしまった木を見ると北国の晩秋を見ているようです。それでも、そこかしこに緑の芽を覗かせて、これから冬だというのに葉を広げようとする姿には感動してしまいます。
植物園も台風の爪痕が多く残っていますが、徐々にもとの姿へ戻りつつあります。たくましく今見頃を迎えた植物たちを紹介します。
↑はクビナガバレリアです。落ち着いた紫色が秋らしいですね。これから早春まで咲き続けます。
白いモケモケした花がかわいらしい水草のガガブタです。鮮やかで大きな熱帯スイレンと一緒に植えてあるため地味な存在に見えますが、美しさでは引けを取りません。
沖縄の自生は知られていませんが、本州から九州までの分布し、最近ではため池の開発などによりだいぶ少なくなっているそうです。
巨大なトウモロコシ・・・ではなく、ソテツの仲間のエンケファラルトス スクラヴォイ(
Encephalartos sclavoi)です。この花序(黄色い塊)はなんと60cmもあります。ソテツ目の植物は日本ではソテツ(
Cycas revoluta)以外知名度が低いですが、世界中で約300種確認されています。鑑賞価値が高い種が多く、また、成長が遅く希少価値が高いこともあり世界中に愛好家がいます。
きらびやかな名前のわりには地味な存在のホウライカガミです。果実と花が一緒に見られました。日本最大にして最も優雅な蝶、オオゴマダラの食草として有名です。夏に比べてだいぶ少なくなりましたが、今でもひらひらとホウライカガミの周辺を舞う姿を見ることができます。
鮮赤色の花が印象的な食用カンナです(沖縄ではビジンスーと呼ばれています)。日本では花カンナの方が園芸的に有名ですが、澱粉を蓄積する根茎が食用として利用され、熱帯地域を中心に世界中で栽培されています。
オーストラリア原産のゴールデンペンダです。他の花にはない蛍光色のようなライムカラーの花を咲かせます。比較的小木のうちから咲くものの、開花期間が短いこともあってか、日本ではあまり普及していません。
沖縄のマングローブの一種、オヒルギです。タコさんウィンナーのような花は大きく見応えがあり、照りのある葉も美しいことから意外と鑑賞価値の高い木だと思います。タコ足の間から見える緑色のとんがりは根で、これが徐々に伸びてある程度の長さに達すると、新芽がついた状態で果実から抜け落ちます。母親の木についたまま子供が発根するなんて面白い特徴ですよね。胎生種子と呼ばれています。
植物園みどりの相談所前のホウオウボクに着生させたコウトウヒスイランです。ホウオウボクの葉は台風にほとんど持って行かれましたがコウトウヒスイランはホウオウボクの幹にしっかりと根を張り、今でも健在です。着生ランのたくましさを感じます。
台風の影響でお見苦しい姿の植物たちをお見せしなければならないのが心苦しいですが、日々、復活していく様子を見守って頂ければ幸いです。