所在確認調査の結果、1,510点の美術工芸品のうち、1,119点が焼失を免れたことが分かりました。
ただ、これらは熱などの影響を受けていることが考えられ、各分野の専門家により状態確認調査を実施しました。
その結果、絵画や漆器、染織の多くに、熱や水害などの影響による劣化が見られました。
*所在確認調査:焼失の有無の確認(沖縄美ら島財団にて実施)
*状態確認調査:火災の影響の有無の確認(専門家の協力にて実施)
火災前 総収蔵数 |
火災後 総収蔵数 |
火災後 | ||
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修理不要数 | 要修理数 | |||
絵画 | 183 | 156 | 150 | 6 |
漆器 | 487 | 285 | 4 | 281 |
染織 | 306 | 302 | 283 | 19 |
書跡 | 125 | 106 | 101 | 5 |
陶磁器 | 127 | 46 | 25 | 21 |
金工品・その他 | 282 | 224 | 192 | 32 |
合計 | 1,510 | 1,119 | 755 | 364 |
調査風景
焼失を免れた156点の内、59点の状態確認調査を実施、全て終了しました。その内6点に被害が確認されました。
表装具に火災による熱や、消火の際の水分による影響で膨れや浮きが生じているものがありました。
劣化状況(●劣化部分)
被災当日外部へ貸し出されていた資料4点を除き、281点すべてに梱包時の包装薄紙の付着や、漆塗膜の浮き・剥落・亀裂・変色、顔料の変色、螺鈿貝の浮き、金箔の剥がれ、木部の変形等の劣化が見られ、ほぼ全てに修理の必要があることが分かりました。
焼失を免れた302点の内、19点に被害が確認されました。高熱と高湿による顔料の変色、染料の褪色、生地の劣化等が確認されました。
展示室の保管品には、高熱による熱焼け跡と煤の付着が確認されました。
繊維の中に細かい煤の粒子が入り込んでいる状態 |
青色が灰色に変色した状態 |
火災の高熱・高湿で絹繊維が硬直した状態 |
焼失を免れた106点の内、5点に被害が確認されました。
焼失を免れた46点の資料については、ほぼ被害が確認されませんでしたが、搬出中に破損したと見られる資料が1点、展示中に破損した資料1点が確認されました。
焼失を免れた224点の内、一部の収蔵品に経年劣化による錆が見られました。
※刀剣
煤が表面に付着した資料については、緊急的なクリーニングを行いました。
鞘部分の漆塗りについては、熱による被害を受けています。
また、どの刀にも笄(こうがい)が熱と見ずによる錆が見られます。
火災当時に南殿特別展示室内に展示していた提重(さげじゅう)は、焼失を免れましたが、煤を被ってしまいました。煤が固着化する前に緊急措置として煤の除去を行いました。
水やアルコールを使用し、丁寧に除去作業を行いましたが、すでに固着化している部分や熱による塗膜劣化がある箇所については、本格修繕の際に除去することになりました。
措置前 | 措置後 |
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状態確認調査と並行して、漆器に貼り付いた薄紙を剥がす作業を進めています。
筆に精製水を含ませ薄紙を濡らし、漆や加飾部分が剥がれないように、丁寧に薄紙を剥がしてきます。
首里城美術工芸品等管理委員会において提言を受けた修理及び復元計画を基に、被害を受けた収蔵品、焼失してしまった収蔵品の修理復元を行って参ります。
それらについては、首里城公園でのパネル展示やHPなどを通してご報告させて頂きます。
提言及び修理・復元状況については下記よりご確認下さい。
この4か所に、主な資料が保管・展示されており、火災後に搬出作業を行いました。
下記の皆様のご協力により、資料の搬出、保管、状態確認が可能となりました。ここに感謝申し上げます。 | |
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