熱帯ドリームセンター

オオオニバス

オオオニバスとは?

スイレン科の中で最も巨大なオオオニバス。ブラジル、アマゾン流域やパラグアイ、アルゼンチンに自生する巨大水生植物です。1枚の葉の直径は1.5mから2m程にもなり、子供が乗っても沈まないほど浮力が大きいことで知られています。

オオオニバスの仲間は3種類。熱帯ドリームセンターでご覧いただけるのは、パラグアイオニバス[左下]とオオオニバス[右下]です。

パラグアイオニバス(学名:Victoria cruziana Orb.)の特徴は、葉の縁が高く反りかえり、葉の裏は淡い緑色になります。

オオオニバス(学名:Victoria amazonica J.De C.Sowerby)の特徴は、葉の縁が低く、葉の裏は赤茶色になります。1800年頃に発見され、イギリスの植物園などで、栽培に取り組み、成功しました。

オオオニバスの花に隠された秘密!

オオオニバスの花は2日にわたり夜に開花します。

花は夜に咲き、日中は閉じて翌日の夜に再度咲きます。1日目の花は白く、香りがあり、2日目はピンクに変色して香りはほとんどありません。

この習性は昆虫と密接な関係があります。

まず、闇夜の中でも花の強い香りに誘われ、多くの虫達があつまります。虫達が花の中もぐりこんで食事をしている間に朝がきます。花はゆっくり閉じていくと、同時に虫達も花の中に閉じこめられることになります。

翌日、2日目の夜に再び花が開いた頃には虫は花粉まみれ。やっと開放された虫はまた次の花を探しに飛び立ちます。でもこのときに探すのは決まって開花1日目の香りのある白い花。

このように異なる花同士の花粉を昆虫に運ばせることで、丈夫なタネをつけるように仕組んでいるんです。オオオニバスの知恵ってすごいですね!
熱帯ドリームセンターでは温度管理などを行いオオオニバスの花が随時咲いています。

画像はオオオニバスの開花を2日間撮影したものを連続再生させたものです。夜間の照明の関係上、やや八分咲きの状態ですが、花弁の動きがよく分かります。

オオオニバスの大きな葉は小さな生き物を育む!

ビクトリア温室

平たい葉の裏面にはするどいトゲと網目になった太い葉脈があります。葉脈の間には空気がたまり、葉を浮かせる力になっています。

葉脈自体にも空気をためていて、それが浮き袋の役割を果たしているため、20kgほどの重さのものを乗せてもびくともしません。

また魚に葉を食べられてしまわないよう、するどいトゲで身を守っていると考えられています。こうして大きい葉を水面 いっぱいに広げて太陽の光を受けることで厳しい生存競争を勝ち抜いているのです。

現地アマゾンでは、小魚などがこの大きな葉をかくれみのとして利用しています。それを狙って大きな魚がやって来て、葉の上からは大きな魚を餌にしようと鳥たちが待ち構えています。それだけでなく鳥たちは葉の上に巣をつくり子育てにも利用するそうです。

オオオニバスはその大きな存在で様々な生き物を育んでいるのですね。