奄美(あまみ)の高倉

農村の知恵(ちえ)の風景 群倉【ボレグラ】

この高倉は穀物(こくもつ)貯蔵(ちょぞう)するための倉で、奄美(あまみ)大島大和村に残されている群倉【ボレグラ】の高倉をモデルにしており、この形は与論島(よろんじま)(のぞ)いた奄美(あまみ)群島にみられます。沖縄の高倉に(くら)べ、屋根の勾配(こうばい)が急で(かべ)傾斜(けいしゃ)はほぼ水平に近く、柱は太くて(かた)く、(かんな)(けず)り上げているのでネズミが(つめ)をひっかけて登ることができません。倉の(ゆか)は正方形に近い形で、高倉の登り()りは、丸太にキザミを入れた一本梯子(ばしご)です。
一般的(いっぱんてき)奄美(あまみ)の高倉は、比較的(ひかくてき)裕福(ゆうふく)な農家の屋敷(やしき)内にありましたが、群倉【ボレグラ】は、集落はずれの田畑の近くにまとめて建てられ、共同で使用していました。人家から(はな)れて建てることで火災(かさい)による延焼(えんしょう)(ふせ)ぎ、耕地(こうち)の近くにあることで収穫(しゅうかく)物の運搬(うんぱん)が楽になるという、農家の知恵(ちえ)から生まれたものと言われています。