庭と前の家【アシャギ】

この家の入口、木造瓦屋根付(もくぞうかわらやねつ)四脚門(しきゃくもん)・屋門【ヤージョウ】から入り、(かわら)石垣(いしがき)沿()って折れ曲がりながら進むと、正面に目隠(めかく)(かべ)【ヒンプン】がでてきます。ここの【ヒンプン】は慶事(けいじ)の時にのみ開けられるという中門がついています。

一般的(いっぱんてき)な民家の庭は実用的な戸外空間であり、一部の豪農(ごうのう)(のぞ)き庭園はありませんが、地頭代の家では一番()から見える場所に、亜熱帯性(あねったいせい)植物やサンゴ石灰岩(せっかいがん)の景石などをつかった沖縄独自(どくじ)の庭を(もう)けています。

この建物は前の家【アシャギ】という(ばな)座敷(ざしき)で、来客の宿泊(しゅくはく)隠居(いんきょ)部屋として使われていました。

一年中(あたた)かい沖縄ではソテツやシュロを庭木とすることが多く、また水条件(じょうけん)が良くないため枯山水(かれさんすい)の庭が作られています。そこに築山(つきやま)(もう)け、中国山水(さんすい)()風に枯滝(かれたき)、石橋・石段(いしだん)(もう)けたものも見られます。