首里杜館1階のカフェ龍樋には、今、このようなものが置かれています。。。これは一体なんでしょう?
「御轎(うちゅう)」
きらびやかに装飾された椅子のようなものは、「御轎(うちゅう)」と呼ばれる、国王の輿(こし)、乗り物になります。こちらで展示しているのは、イベント用に製作されたもので、龍の絵が描かれている方が国王用、鳳凰(ほうおう)が描かれているのが王妃用になります。
「御轎」は国王の行幸、首里城から城郭の外へ出かけていく際の乗り物(輿)として使われていました。また徳川将軍の代替わりの慶賀や琉球国王の代替わりの感謝のため、国王の名代(代理)の「正使」として江戸へ派遣された高官も御轎に乗っていました。
今年の10月30日~11月3日にかけて行われた首里城復興祭のときに、この「御轎」に座るイベントを開催したので、王さま・王妃さま気分を味わった方もいらっしゃるのではないでしょうか。よく見ると両方の装飾には細かな違いがあります。描かれているものが違ったり、高さが微妙に違う等、ぜひ間近でご覧になって、その違いも探してみて下さい。
※今は座ることはできないので、見てお楽しみ下さい。
もう一つ紹介するのは、黄色い傘と赤い傘です。こちらは「御涼傘(うりゃんさん)」という琉球王国時代に使われていたものをモチーフに造られた傘で、カフェの窓際近くに設置しています。ベンチに設置しているので、気軽に座って眺めたり、休んだりすることができますよ。
「御涼傘(うりゃんさん)」
「御涼傘」とは琉球の敬語的な表現です。もとは日傘から発生したものですが、実際は国王や高貴な人が行幸するときの装飾用として使われていました。傘の周囲には、ひらひらする布(「あふり(煽り)」の布)が垂れています。
国王周辺と内宮にあたる御内原の語彙を集めた古語辞典『混効験集』(1711年)には、「おみあふり 冷傘」とあり、「おみあふり」は冷傘(=涼傘)の敬語的な古語でした。古くは神の降臨の象徴とみられ、また煽ることによって霊力を活動させ、豊穣が約束されるとした呪具でした。
江戸上り(江戸立)の行列の様子を描いた絵がありますが、それには今回紹介する「御轎」と「御涼傘」も描かれています。さぞかし華やかな行列だったのではないかと思われますが、みなさまもぜひカフェ龍樋にて、間近で眺めながら琉球王国時代に想いを馳せるひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
『琉球人行列図(琉球入朝図引)』(部分)(一般財団法人沖縄美ら島財団所蔵)