ちゅーうがなびら(こんにちは)
ここにははじめて登場するかのう。
わしはハクタクおじぃというもんじゃ!!
ふだんわしは首里城公園の南殿2階特別展示室で展示資料の解説をしておってのう。
わしの詳しい紹介はいずれするとして、今日は、現在首里城公園で行われておる
「守れ!琉球の宝」という企画展で展示されているもののひとつ「高人鑑書」について
紹介しようと思ってな、このブログに書き込むことにしたのじゃ。
まずは、高人鑑という人じゃが、この人は「清(しん)」という今で言うところの中国にあった王朝の人で、
冊封副使として琉球に派遣されてきたお方じゃ!
そんな偉い人が書いた書なのじゃが、それはこういうものじゃ!
なんと!!龍が描かれた紙に書かれておるわい。
よく見てもらうとわかるのじゃが、紙に描かれた龍は五本の爪じゃ。
「五本爪の龍」これは清の皇帝を象徴しておって、しかもこの紙の龍はとても細かく描かれておる。
高人鑑が清からもってきた紙ではないかと考えられておるのじゃ。
また、こんな紙に書いてあるもんじゃから、身分の高い人に贈られたものじゃないか、
ともいわれておるのじゃ。
そしてこの書をよく見ると「道光戊戌年」と書かれておるのがわかるかのう?
これは高人鑑が「この年に書いた」ということをいっておるのじゃが、これは道光18年、
西暦にすると1838年となる。
歴史の史料からこの時、高人鑑は琉球にいたことがわかっておる。
つまりこのことからこの書は琉球で書かれたことがわかるのじゃ。
では、この書にはどのような意味があるんじゃろうか?
一般的に、当時の外交ではよくこのような書が贈答されておった。
その書の内容といえばおめでたい言葉や歴史的なお話、有名な漢詩の一節などさまざまじゃ。
この書には「大富貴亦壽考(だいふうきまたじゅこう)」と書かれておるのじゃが、
意味はというと「大いに富み出世もし、そして長寿にもなります」
とでも言えばいいじゃろう。
なんともいい言葉じゃのう!!(^^)。
そしてこの言葉はおめでたいというだけではなく、ある有名人の伝説から生まれた言葉でもある。
昔々、唐という時代のお話!!
郭子儀(かくしぎ)という人物がおって、七月七日に天女に遭遇したそうな。
郭子儀は天女に「長寿と富貴が与えられますように」とお願いをすると、
その天女が「大富貴亦寿考」と言って天へ帰っていったとさ。
その後、郭の人生は天女の言った通りになったそうな。
とまあ、簡単にいうとこんなお話じゃ。
実は郭子儀という人物は漢文を学ぶ人たちにはとても有名人なんじゃ。
また当時の琉球の偉い人は漢文のことをよーく知っておった。
当然このお話を知っている人も多くいたはずじゃ。
あくまで想像じゃが、この故事を知っている琉球の人がこの書をもらっていたとしたら、
「冊封副使の高人鑑様から『あの伝説』の言葉をいただいた!」
ということでさぞかし喜んだであろうのう!!
この展示品は5月17日まで展示しておる。
龍の描かれた珍しい紙に堂々と書かれた書をぜひ堪能していただきたいのう。
それではまた皆さんに会えるのを楽しみにしつつ、わしは失礼しよう。
ハクタクおじぃ