平成4年11 月3日の文化の日に、 沖縄の歴史と文化を象徴する首里城とその周辺が国と県の都市公園として甦りました。
国営沖縄記念公園首里城地区
建設の記録
発行年:平成6年(1994年)3月
平成の復元は 「首里城の復元なくしては沖縄の戦後は終わらない」との県民の強い思いを背景に
関係者の精力的な取り組みがあってはじめて可能となったものである。
また、 正殿をはじめ様々な重要施設を時代考証に基づき可能な限り正確に復元整備するものであり、
その工事内容は、 かつて沖縄に継承されていた伝統技法の復活から最先端技術の活用まで、 極めて広範多岐に渡っている。
更に、 実際の施工段階においても、 漆の塗師、 石工、 宮大工、 陶工、 造園工等非常に広範囲な職種の人々が多数参加し、
その中で、 はじめての経験からくる 多くの問題を相互に調整しながら、 完全復元を目指して一つ一つ地道に解決して復元整備を進めたものである。
これにあたった関係者の苦労と努力は並々ならぬものがあり、 かつ、 その経験は極めて貴重なものであった。
今回の復元整備そのものの重要性は当然であるが、 これに至る様々な段階での貴重な経験を、
広く後世に伝えることも極めて重要な役割であると考え、今回建設の記録として取りまとめることとした。
第1章 首里城の歴史と公園整備の経緯
第1章 計画の経緯
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琉球王国と首里城の歴史
■沖縄の歴史概説
■首里城の歴史概説
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首里城の特徴
■空間構成
■御庭と周辺の施設
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第1期開園に至るまでの経緯
■首里城跡地周辺の文化財建造物の復元・修理
■首里城の復元・整備
■国営沖縄記念公園首里城地区の整備計画
■正殿の復元計画
第2章 事業概要と施設の特徴
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全国の国営公園
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首里城公園の概要
■公園の構成
■事業主体と整備費
■管理体制と公園の現況
■国営沖縄記念公園首里城地区利用 実態調査
■事業経緯
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各施設の歴史的経緯と特徴
■建築物
■城壁
■舗装
■植生
第3章 工事の実施内容
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工事の経緯・ 催し
■国営公園区域の整備工事
■首里城正殿建築工事
■一部開園までの催し
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工事の実施内容
■建築物
(1) 正殿
(2) 正殿両廊下(南之廊下、西之廊下)
(3) 瑞泉門、 漏刻門
(4) 広福門
■電気設備
(1) 首里城公園の電源設備の形態
(2) 正殿
(3) ポンプ室
■機械設備
(1)首里城公園の機械設備
(2)正殿
(3)ポンプ室x
■造成
■不発弾対策
■石積
■園路・広場
■工作物
■植栽
■屋外設備
(1) 電気設備
(2) 機械設備
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工事の写真解説
■建築物
(1) 正殿
(2) 正殿両廊下(南之廊下、西之廊下)
(3) 瑞泉門、漏刻門
(4) 広福門
(5) ポンプ室
■石積
■園路・広場
■植栽
第4章 工事工程表
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全体工程表
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正殿
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正殿両廊下、 瑞泉門、 漏刻門
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広福門、 ポンプ室
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石積、植栽等
第5章 図面集
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全体配置図
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正殿
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正殿両廊下(南之廊下、西之廊下)
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瑞泉門
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漏刻門
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広福門
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ポンプ室
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石積、 園路 ・ 広場
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植栽
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工作物
第7章 資料編
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百浦添御殿普請付御絵図并御材木寸法記
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国宝建造物沖縄神社拝殿図(抜粋)
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正殿跡遺構平面図
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久米赤土彩色顔料調査
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国営沖縄記念公園首里城地区官報 関係資料
国営沖縄記念公園首里城地区
計画・設計の記録
発行年:平成7年(1995年)3月
本書は、首里城公園が平成4年11月3日に部分開園した時点を一つの区切りとして、
平成5年度の「建設の記録」に引き続き、計画から設計段階までの記録をとりまとめたものである。
今後新たに首里城公園の事業に参加される方々がこれまでの復元事業の経過を学ぶ上で、
「 建設の記録」と併せて本書を活用していただきたい。
また、歴史文化への関心が高まりつつある昨今、同様の復元事業が全国で展開されており、
少しでも本書がそれらの事業の参考になることを期待するものである。
第1編 公園計画編
第1章 計画の経緯
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首里城公園の復元整備に至る経緯
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首里杜構想と首里城公園
1)基本構想
2)基本計画
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調査設計業務の手法
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委員会等
1)首里城公園懇談会
2)首里城正殿設計委員会
3)首里城城郭調査検討会
4) 御庭ゾーン等基本設計委員会
第2章 計画の前提
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歴史的条件
1)首里城の変遷
2)城郭の様式と特徴
3)城内の機能
4)植生
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計画地の現況
1)地形・地質
2)植生
3)文化財
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計画地の交通条件
1) 道路網の現状
2)道路網整備の状況
3)公共交通の状況
4)地区へのアプローチの状況
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観光
第3章 基本的理念
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歴史の拠点としての首里城
1) 首里城の沿革
2) 旧国宝指定を受けた首里城内の文化財
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伝統・文化の拠点としての首里城
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首里城復元整備の意義
第5章 計画条件の整理
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歴史的風致の整理
1)歴史的風致構成要素の把握
2)景観分析
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土地利用の整理
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施設の整理
第6章 基本計画
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景観計画
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土地利用計画
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同線計画
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施設配置計画
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利用運営計画
1)利用運営の基本方針
2)展示計画
3)イベント計画
4)映像計画
5)広報計画
6)サービス計画
7)管理計画
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造成計画
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植栽計画
第2編 復元整備計画・設計編
第1章 建築物
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1. 正殿
1. 歴史的経緯と建物の特徴
2. 正殿復元の基本理念と基本方針
3. 調杏設計
1)構造形式
2)規模
3)位置、地盤高
4)各部設計
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正殿両廊下
1. 歴史的経緯と建物の特徴
2. 調査設計
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瑞泉門
1. 歴史的経緯と建物の特徴
2. 調査設計
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漏刻門
1. 歴史的経緯と建物の特徴
2. 調査設計
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広福門
1. 歴史的経緯と建物の特徴
2. 調査設計
第2章 城郭
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歴史的条件の整理
1) 防御機能
2) 城の尊厳、備えを示威する機能
3) 建築空間、広場空間の形成機能
4) 祭祀機能
5) 風土対応及び利水機能
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石積調査
1)首里城に関連の深いグスク事例、調査
2)首里城の旧石積残存状況調査
3)戦前の首里城写真から石積判読調査
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城郭石積復元整備の基本的考え方
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石積の規模・形態の検討
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復元構造物の安全性の検討
1)構造の検討と設計条件の設定
2)断面の構造検討結果
3)復元構造物工法の整理
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城門エリア(第1期開園区域)の石積
1) 石積聞き取り調査
2) ボーリング調査
3) 遺構調査の結果
4) 規模・形態の設定
5) 復元整備工法の検討
6)構造設計
第3章 園路 ・ 広場
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王府時代の利用動線と園路・広場構成
1) 歓会門動線
2) 久慶門動線
3) 継世門動線
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園路・広場計画の方針
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園路系統の設定
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園路・広場舗装構成の設定
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第1期開園区域の園路・広場
1) 瑞泉門と磴道周辺
2) 漏刻門の磴道周辺
3) 広福門~下之御庭
4) 木曵門・西のアザナ方面へのルート
5) 北殿東側等磴道
6) 右掖門~久慶門ルート
第6章 城郭基盤造成
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城郭基盤造成計画のフロー
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首里城の地形に関する検討資料
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検討資料と対応する場所の整理
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地形改変の検討
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造成計画の基本方針
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エリア別造成計画
1) 西のアザナ周辺エリア
2) 瑞泉門・漏刻門周辺城門エリア
3) 京の内周辺エリア
4) 久慶門東城郭周辺エリア
5) 正殿・御庭エリア
6) 書院・二階殿・料理座周辺エリア
7) 北東城郭エリア
8) 継世門周辺エリア
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全体の造成計画
第7章 庭園 ・ 植栽
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庭園
1) 琉球庭園の特徴
2) 首里城内の庭園
3) 庭園計画
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植栽
1) 植栽の歴史的変遷
2) 主要地点の往時の植物景観
3) 植栽計画
第8章 特定公園施設
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計画の前提
1) 御庭
2) 北殿
3) 南殿
4) 番所
5) 奉神門
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御庭ゾーン基本計画
1) 計画の前提となる基本的考え方
2) 計画を策定するにあたっての基本方針
3) 御庭と各建物の機能
4) 御庭ゾーン内の動線(順路)計画一
5) 展示基本シナリオ
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建築基本設計
1) 設計の基本方針
2) 建築基本設計
3) 建物の各部詳細
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設備基本設計
1) 設備設計基本方針
2) 設備設計