「旗頭」とは沖縄の綱引き行事には欠かせない応援旗のことを言います。首里の綱引き行事には「綾門大綱(アイジョウウンナ)」と呼ばれる国の慶事に引かれた大綱と、各町で引かれる村綱があったと言われています。「綾門大綱」は明治時代に途絶え、また「旗頭」も先の大戦で灰塵と化してしまいましたが、戦後の 「首里文化祭」をきっかけに各町が「旗頭」を復興し、地域活性化のシンボルとなり現在でも各地域の青年会が中心となって旗頭文化が継承されています。
首里の旗頭には、旗竿に燈籠(トゥールー) や熨斗(ノシ)、吹流し(フキナガシ)、四隅美縄(ユシミナァー)がつき、地域の心意気を表す旗字が掲げられます。その重量は100斤(約60kg)を目安に作られています。旗の動きにあわせて金鼓(チンク)と呼ばれる鉦鼓(しょうこ)や銅鑼、太鼓が打ち鳴らされ、上下に旗を舞(も)うらする美しさや旗持ち技術の複雑さが競われます。
首里の旗頭は「夜旗」です。これは首里地域の綱引きが夜に行われていたことに由来するもので、旗持ちの衣装は夜に映える白衣装が主流となります。これに対し那覇の旗頭は「昼旗」で黒衣装になります。鼓燈籠(チヂンドゥール)という頭飾りの中に蝋燭を立て、闇夜に浮かぶ勇壮な姿こそ首里「夜旗」の真骨頂です。